そもそもお金の貸し借りにおいて支払い期限が守られなかった場合は、民法419条に「金銭の給付を目的とする債務の不履行(支払い守らなかったこと)について、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。」とあります。
また損害賠償については、債権者は「損害の証明をすることを要しない」の条文を根拠に「損害賠償」として「遅延損害金」を請求することができます。
養育費の支払い遅延における遅延損害金
養育費も「金銭の給付を目的とする債務」に該当するため、その不履行に対して、期限や遅延損害金を法定の利率内で設定し、遅延損害金の損害賠償を請求することが可能です。
そして「遅延損害金」の金額は、払うことが約束されている元金に対し、定められた利率で計算されます。
この利率は利息制限法という法律によって上限が定められています。
元金が10万円未満の場合は年20%、元金が10万円以上100万円未満の場合は年18%、元金が100万円以上の場合、年15%がそれぞれ利息利率の上限となります。
また条文にあるように、離婚時に養育費の支払いについて遅延損害金のことを特に決めていなくても発生し、5%までの遅延損害金を求めることができることになります。
養育費支払者の支払いが遅れた場合、養育費に遅延損害金も加えて請求することで、相手にプレッシャーを与えることができます。
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間接強制とは
間接強制は2005年4月1日から新しくスタートした制度です。債務を履行しない義務者に、その債務とは別に間接強制金を課すことを警告することで、義務者に心理的圧迫を与え、自発的な支払を促すものです。(民事執行法172条 間接強制)
簡単に言うと、離婚時に取り決めた養育費を、期限内に養育費支払者が支払わなかった場合、受け取る側が裁判所に対して間接強制を申し立てることできます。
そして裁判所が養育費支払者に対し制裁金を支払うよう命令することで、相手に心理的なプレッシャーを与え、支払いを促すことを目的としているのです。
原則として、金銭の支払を目的とした債権については間接強制の手続をとることはできませんが、養育費や慰謝料など、扶養に関する権利については間接強制の制度を利用することができます。
ただし間接強制には直接強制のような財産を差し押さえる強制力はなく、支払い義務者による自発的な支払いがない場合には、直接強制の手続をとる必要があります。
間接強制金が多くなりすぎると支払義務者の生活が困窮してしまう恐れがあるため、間接強制金の金額は支払義務者の収入や経済状況などを考慮し適正に決定されます。
また支払義務者に支払能力がない場合には、間接強制が認められてない場合もあります(民事執行法167条の15の1項)。
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間接強制の流れ
申立てに必要な書類を揃え、裁判所に間接強制に申立てをすると裁判所が約束した養育費を支払わない債務者を必要に応じて呼び出したり、事情を聞いたりした上で間接強制の決定が下されます。
決定が下されると遅延損害金が相手が支払うべき養育費に加算されます。
間接強制の申し立てには裁判の確定判決や調停調書、和解調書、公正証書などの書類が必要になるので、離婚時に公正証書を作っておきましょう。
申し立てる場所は
裁判の確定判決、家事審判、上級裁判所の和解調書がある場合は第一審の裁判所となります。
公正証書の場合は相手方の住所地の地方裁判所か簡易裁判所になります。
間接強制の費用及び必要書類
申立てに必要な費用は、収入印紙2000円の他、連絡用の郵便切手(申し立てされる家庭裁判所へ確認)となります。
申し立てには申立書1通、執行力のある債務名義の正本、債務名義の正本送達証明書を提出します。
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