離婚の際、慰謝料をもらえるかどうかの基準はどこにあるのでしょうか?

そもそも慰謝料とは、精神的損害に対する損害賠償です。相手にはっきりとした非があり、それによって精神的苦痛を受け、その苦痛が原因で離婚に至った場合、その苦痛への賠償として支払われるのが慰謝料なのです。

慰謝料の定義

離婚の原因を作った方が支払うもので、どちらに非があるかはっきりしない場合には、慰謝料の請求をすることはできません。

相手に有責行為があっても、自分にも非がある場合、その比重にもよりますが、もらえる慰謝料の金額は低くなるか、もらえない可能性が高くなります。

具体的には、以下のようなケースでは、慰謝料が認められる可能性が低くなります

性格の不一致

性格の不一致価値観の相違は、複雑な問題です。

多くの場合、互いに問題がありどちらか一方に離婚の責任があると判断することは難しいと言えます。

よって慰謝料の算定が困難であり、慰謝料の支払いは認められない可能性が非常に高いと考えられます。

双方の有責性が同程度である場合

例えば、相手が浮気や不倫などの不貞行為をしていたが、自分も同様にしていたような場合には、双方に有責性がある為、慰謝料は認められません。

すでに夫婦関係が破綻している状態での不貞行為

相手が不貞行為をしたとしても、別居していたり、同居していても長期に渡り会話がなかったり、セックスレスであったような場合、夫婦関係が破たんしていると見なされ、慰謝料がもらえない可能性が高くなります。

不貞行為の証拠がない場合

例え相手が浮気や不倫をしていたとしても、その証拠が全くなく、配偶者が事実を認めていない場合には、裁判で慰謝料請求の訴訟を起こしたとしても、勝てる見込みは低くなります。

親族との折り合いが悪い・信仰上の対立

相手の家族との関係が良くなかったような場合、どちらか一方のみに責任があるとは考えにくく、また判断が難しい為、慰謝料の請求が認められる可能性は低いと考えられます。

また信仰上の対立もどちらかに責任がある問題とは言えず、よって慰謝料を請求しても却下される可能性が高いでしょう。

すでに時効が成立している場合

相手の不貞行為を知った時、また不貞行為が原因で離婚した時からカウントし、3年間が、慰謝料を請求することができるタイムリミットとなります。

暴力などにおいては、その行為に対する損害を意識した時点からカウントが開始されます。

3年で時効となり、請求権利が消失します。

ただし、請求される側が、時効の成立に気が付かず、慰謝料の支払い義務を認めたり、分割で一度でも支払ったりした場合には、約束された慰謝料の支払いを拒否することはできません。

まとめ

このように、相手に明確な有責性がない場合、慰謝料が認められる可能性は低いと言えますが、慰謝料をもらえない場合であっても、財産分や養育費は請求することができます。

離婚の際、相手にまとまった現金がない場合でも、不動産などの資産がある場合売却して分割することもできます。

また養育費は原則として分割で受け取ることになりますので、諦めず交渉してみましょう。

交渉で合意が得られない場合、調停や審判、訴訟などを通して請求することが可能です。