離婚の慰謝料は一括で受取ることがベストです。なぜなら慰謝料の分割払いには多くのリスクがあるからです。

とはいっても一括で払えるケースの方が少ないのも現実です。

では分割払いの時にはどのような点に注意して、支払いの取り決めをしていくべきかみていきましょう。

慰謝料の分割払いのリスク

話し合いにで双方合意の上で、円満に慰謝料の額を決定しても支払いを分割で受けることには様々なリスクが伴います。

そしてそのリスクは支払い期間が長期に渡れば渡るほど、相手の心情の変化、経済的事情の変化、思わぬ病気や怪我による、支払い能力の低下など、支払いが滞る可能性が高まることが考えられるからです。

つまり慰謝料を分割で受け取ることは、支払いを受ける側にとってはリスクが多く、メリットが少ない受領方法なのです。

相手に、慰謝料を一括で支払える経済力がない場合

慰謝料は原則として一括払いが理想です。可能であれば、分割払いは避けたほうが無難です。

しかし支払う側にその資力がない場合、必然的に分割払いを選択しなくてならないケースがあります。

こうった場合の財産分与があれば、その割合を多めに調整することで交渉するのは有効な方法になります。

例えば現金があれば、慰謝料を考慮して多めに財産分与を行うのです。

また預貯金がない場合で、車などの動産がある場合も同様に自分に多く分配する交渉をしてみましょう。

分割方法の取り決め

分割払いでも、一回目の支払い金額を、可能な限り多く設定できるよう話し合ってみることも重要です。

また分割の回数は、多いより少ないほうが、支払い期間は長いより短いほうが、より確実に慰謝料を全額受け取ることができる可能性が高くなります。

慰謝料の継続的な支払いが期待できない場合、慰謝料が多少減額となっても、一括で払える額を払ってもらうほうが、結果的に多く慰謝料を受け取ることができる場合もありますので、検討してみましょう。

慰謝料を分割で受ける場合、公正証書を作成しましょう

裁判所を通し離婚が成立した場合、慰謝料の支払いについてもその手続き中に話し合われていることが一般的で、取り決めしたことが自動的に公的な書面として残されます。

しかし当事者で話し合い、作成した離婚協議書は自動的に公的証書にはなりません。

つまり離婚協議書には法的拘束力がないため、協議離婚の際には離婚公正証書として作成しておく必要があるのです。

また慰謝料の支払いがある場合、原案となる示談書を作成して制執行認諾約款付の公正証書を作成します。この公正証書は公証役場にて作成することができます。

公正証書に残しておくと、契約した慰謝料の分割支払いが滞った場合、支払者の財産を強制的に差し押さえて、慰謝料を回収することができます。

公正証書による強制執行を可能にするには、支払いに関する詳細を記載しておく必要があります。

具体的には慰謝料の総額、月々の支払額、返済期間、返済回数、強制執行認諾約款など漏れがないように記載されていることを確認しましょう。

支払いに関する内容が明確に記載されていない場合、強制執行ができない可能性もありますので注意が必要です。

また強制執行では給与の差押さえがメインとなります。

給与を差し押さえる場合、相手の住所、金融機関の預金口座番号、相手の勤務先情報などを把握する必要となりますので、これらについても事前にしっかり確認しておきましょう。

また「期限の利益喪失約款」の付いた公正証書であれば、分割払いの不払いが1度でもあった場合、その時点で残りの不払い分をまとめて請求することができます。