離婚する人数は平成14年の29万組をピークに、ここ数年は減少傾向にあります。とは言え、婚姻件数に対する離婚件数の割合は高い数値のまま推移してます。

離婚率の話になるとよくアメリカが例に出されますが、アメリカの離婚率は2組に1組つまり離婚率50%と聞いたことがある方も多いしょう。

流石に日本はアメリカほどではないと思いでしょうが、日本でも「3組に1組が離婚」しているのが現状なのです。

そしてこれだけの人たちが離婚をしているということは、慰謝料の問題もそれなりに発生していると考えられるのです。

離婚の現状と慰謝料

相手の不倫・浮気」、「DV」は離婚理由の上位にランクインしています。

慰謝料の定義は後々詳しく説明しますが、簡単に説明すると慰謝料とは相手の行為で精神的・肉体的に傷ついた代償としてもらう金銭などを言います。

つまり相手の不貞行為やDVは慰謝料請求の対象になるわけですから、やはり慰謝料の問題は多く発生していると推測できます。

慰謝料を請求できる方は多くいることがわかりましたので、次にどうすれば慰謝料を請求できるのかを説明していきます。

いざという時に困らないように、ぜひ基本的な知識を備えておきましょう。

離婚した時の慰謝料の金額目安って?

実は慰謝料の明確な相場は、いくらと一概には言えないのです。その理由を簡単に説明すると、慰謝料のデータが少ないからなのです。

日本の場合、9割が協議離婚のためこの方たちの慰謝料のデータは当然ありません。

離婚届にでも慰謝料を記入する欄でも設ければ、相場がわかるので後々離婚する方には参考になるのですが・・・。

また残りの1割の方が離婚調停、裁判で離婚をするのですが、この中で慰謝料と財産分の取り決めがあるのは6割程度しかいないのです。全体で考えると離婚する人の6%の慰謝料・財産分与のデータしかないのです。

しかも財産分与と一緒にされてしまったいるのです。この少ないデータから慰謝料の相場を判断するしかないのですが、司法統計調査によれば200万円から400万円の支払いが多いとデータがでています。

しかしこの金額は財産分与も含まれるため、慰謝料単体での金額はやはりはっきりしないのです。

そもそも慰謝料って何なのだろう?

そもそも「慰謝料」とは何でしょうか?

【慰謝料(いしゃりょう)】

→ 生命・身体・自由・名誉・貞操などが不法に侵害された場合の、精神的損害に対する損害賠償金。(goo辞書)

→精神的苦痛に対する損害賠償金。身体・自由・生命・名誉などを侵害する不法行為や債務不履行について請求できる。(Weblio辞書)

つまり、慰謝料とは「精神的また肉体的」な損害、苦痛への損害賠償として請求する・支払われるべきものです。ですから離婚の原因が「性格の不一致」では、慰謝料の請求はできないのです。

また同じ不貞行為でも別居や家庭内別居などで、すでに夫婦生活が破綻している状態で、不貞行為を行なった場合は慰謝料の対象とならないので注意が必要です。

そして難しいのが慰謝料を請求する際の金額です。この「精神的苦痛」や「精神的損害」は、いったいどれだけの度合いなのかは厳密には当人にしかわからないからです。

慰謝料の金額を左右する項目例

ではこの説明が難しいダメージに対して慰謝料の金額はどうやって設定されていくのでしょうか。

  1. 離婚原因となった内容で判断。不貞行為・DVが離婚原因の場合は一般的に慰謝料は高く設定されます。
  2. 精神・肉体的ダメージの度合いで判断。うつ病やノイローゼといった精神疾患、DVで骨折などの怪我をしたなど。
  3. 慰謝料を請求する側の状況で判断。年齢・財産・財力など。
  4. 慰謝料を請求される側の状況で判断。年齢・職業・収入・財産・財力など。
  5. 請求する側と請求される側の状況で判断。婚姻期間、子どもの人数・年齢、別居の有無など総合的に判断。

これを読んでも、自分のケースで慰謝料がいくら貰えるのか正確な金額を出すことは難しいでしょう。

話し合い(離婚協議)で慰謝料の金額が決着できるのがベストでが、話し合いで決着がつかない場合は、

離婚調停・離婚裁判で決めるか、または慰謝料に詳しい実務経験と専門知識を持っている弁護士に相談することが望ましいのです。

おわりに──「離婚」・「慰謝料」、ともに骨のかかる大仕事

離婚時の慰謝料は、当事者双方が満足して決着をつけるのは大変骨の折れる大仕事です。

また知識不足から「離婚時に不当な条件を突き付けられてしまった」「慰謝料を殆どもらえなかった」といった残念な結末を迎えてしまう方も少なからずいらっしゃいます。

不利な条件で離婚をしないためには、まずは慰謝料が貰うえる状況かを正確に判断して、慰謝料の金額・支払方法を協議し、協議した内容を公正証書にして残すことは最低限行うべきことになります。

まずは冷静になって、相手の要求に対して即答するのではなく、しっかりと将来を見据えて回答を出すことが重要なのです。