不動産は離婚の際に他の財産と異なり単純に分割することはできないため、不動産の財産分与は非常に複雑です。
その為、協議や事務処理が難航・泥沼化することが多いといわれています。双方に不満の残らないよう、面倒と思わずにきちんと話し合い、清算することが大切です。
また不動産財産の分配方法もあくまで財産分与の原則(夫婦が協力して築き上げてきた財産を公平に分配すること)に従って行われます。
単純に名義や出資額で決定できるものではありません。
不動産の財産分与
例えば、夫名義のマイホームに専業主婦の妻と暮らしていたとしても、それは妻の支えがあっての夫の収入により購入されたマイホームだとみなされることもあります。これは財産への貢献度とも言われます。
話し合いで解決できるのが最善ですが、困難な時は家庭裁判所で協議することができます。
また当事者だけでの取り決めでは、計算を間違えたり何か漏れがある場合も考えられますので、話し合いで解決できそうでも弁護士に相談するのが良いかもしれません。
不動産財産の分配について例外なのは「特有財産」です。これは結婚前の預貯金や結婚前に購入したもの(不動産)を言います。結婚後に親兄弟から贈与された相続遺産もこれに該当します。
また財産分与は離婚後2年以内という期限があります。他の離婚の事務処理、また新生活の手続きなどに追われていると、想像以上に早く過ぎてしまいます。
できれば離婚と同時に清算することがおすすめです。
□ 離婚問題の専門分野満足度『97.2%』
□ 弁護士への相談が無料
□ 3つの売却方法を採用
離婚の不動産売却なら『いえカツLIFE』まで。
不動産財産のポイント3つ
- 不動産の状況を確認する
- 1を踏まえて、不動産が欲しいか考える
- 2を踏まえて話し合い(→調停→裁判)、各種手続き
1.不動産の状況を確認する「やるべきこと」
- 法務局から手不動産の登記簿謄本を取得する
- 住宅ローン契約書(または償還票)から、ローンの残額を確認する
- 不動産業者に現在の不動産の価値を査定してもらう
「チェックすべきこと」
- 土地、建物の名義
- 担保権(抵当権など)
- ローンの主債務者(連名で連帯債務者の場合もある)
- ローンの連帯保証人
- ローン残額
- 現在の不動産の価値とローン残額との差
最初の1.「土地、建物の名義」~4.「ローンの連帯保証人」は事務的手続きで変更できたり(できない場合もあります)、離婚協議書や公正証書の作成等で対応可能な場合もあります。
しかし、5.~6.に関しては当人たちでは変更できません。
次のポイント2では特にこの5.「ローン残額」~6.「現在の不動産の価値とローン残額との差」についてよく考えたうえで結論を出してください。
□ 離婚問題の専門分野満足度『97.2%』
□ 弁護士への相談が無料
□ 3つの売却方法を採用
離婚の不動産売却なら『いえカツLIFE』まで。
2.ポイント1を踏まえて不動産が欲しいかどうか考える「チェックすべきこと」
- 一人でその不動産(特にマイホームなど夫婦の思い入れのある物件)が欲しいかどうかを考える
- 二人で今後の別々の人生のためにその不動産が本当に必要かを考える
- ローン残額に対する支払い能力
- ローン残額とは他に相手に不動産価値分与の支払い能力があるか
- 維持費、管理費負担
具体例1:不動産価値>ローン残額=不動産売却
不動産を売却することでローンが完済でき、手元にお金が残る場合です。合意の上で売却し、残ったお金を分割(原則半分)する。離婚の不動産分与では比較的簡単な解決方法です。
不動産価値1000万円として、ローン残額400万円(差額600万円)の場合、売却後300万円ずつ受け取る(600万円÷2)
具体例2:不動産価値>ローン残額≠不動産売却
不動産を売却することでローンが完済できるのですが、どちらかが住み続ける(売却しない)こともあります。
この場合、不動産価値とローン残額の差額は財産ということになりますから、住み続ける方は他方に分与しなくてはなりません。分与しないということは財産を独り占めするということになってしまいます。
不動産価値1000万円として、ローン残額400万(差額600万)の場合
夫が家に残る、妻が家を出るケース:夫はローン残額400万を支払い、さらに夫は妻に300万円支払う(600万円の価値を分配するという考え方)
実際に不動産を売却した場合は手元にお金があり、それを妻に支払えば(妻と分ければ)よいのですが、この場合ですと手元にあるのはお金ではなく不動産になります。
そのため夫にはローンと妻への分与の支払い両方が残るということになります。妻が財産分与を拒否すればローンのみの支払いが残ります。
◎キーワード:「不動産価値>ローン残額」をアンダーローンと言います。(不動産の売却により利益が生じる状況)
具体例3:不動産価値<ローン残額=不動産売却
不動産を売却してもローンが残るだけなので、片方が住み続けるか賃貸に出してローンを支払い続けるのが一般的です。
それでも売却するケースもあります。処分後の支払いがわずかな場合は協力して早急に完済してしまいましょう。
しかし残額が大きく支払いが困難な状況では、破産するという選択肢もあります。
破産しない場合、不動産名義・ローンの債務者・保証人をよく明確にしておく必要性が強まります。なぜなら借金については財産分与の対象にならないからです。
ローンの債務者や保証人がそのまま責任を負い続けることになります。一方に支払い能力がなくなった際に、他方や親族に迷惑をかけることになります。
不動産価値400万円として、ローン残額1000万円(差額▲600万円)の場合、600万円を二人で完済する、または破産する。600万円をどちらかが返済していく場合、不動産の名義や債務者と保証人を明確にする。
具体例4:不動産価値<ローン残額≠不動産売却
不動産を利用(=住宅に住み続ける)する方が、ローンを返済していきます。他方は保証人などに該当していないかをよく確認しなくてはなりません。
不動産価値400万円として、ローン残額1000万円(差額▲600万円)の場合
A.夫が家に残る場合・・・夫が600万円を返済していく。妻が保証人などに該当していないか確認する
B.妻と子が家に残る場合・・・夫が養育費の代わりとして600万円の支払いを続ける
キーワード:「不動産価値<ローン残額」をオーバーローンと言います。(不動産を売却してもローンが残る状況)
□ 離婚問題の専門分野満足度『97.2%』
□ 弁護士への相談が無料
□ 3つの売却方法を採用
離婚の不動産売却なら『いえカツLIFE』まで。
3.2を踏まえて話し合い(→調停→裁判)、各種手続き
具体例1の場合は最も簡単で、不動産分配の中ではスムーズに解決していきます。
具体例2の場合は、ローンの返済と別れた配偶者への分配金の二つを返済していく能力が問われます。ローンの返済や分配金の支払いが困難になった場合は、利益が出るうちに早めに売却することが求められます。
具体例3の場合、ローンの返済が滞った際に保証人などに該当してしまっていると、債務会社から連絡が来ることになってしまいます。銀行などで保証人を変更することは困難な場合もあります。協議書や公正証書などの作成が発生します。
具体例4の特に養育費代わりとして住宅ローンを支払っていく場合には、居住者とローン債務者が異なることになりますので、事前に金融機関と協議しておく必要性も出てきます。
以上が離婚と不動産分与の概要になります。
これはほんの一例であり、それぞれの夫婦に全て異なった事情が発生するはずです。
冒頭にも述べましたが、面倒だと思うことなく、また2年の猶予に甘んじることなく離婚と同時に綺麗に清算することが理想的です。
後々揉める種になりやすいのが特に不動産財産だと考えてください。
当事者同士ではわかりづらいことも多々あるので、うまく専門家を利用して無駄な時間を取らないことも大切です。
□ 離婚問題の専門分野満足度『97.2%』
□ 弁護士への相談が無料
□ 3つの売却方法を採用
離婚の不動産売却なら『いえカツLIFE』まで。