面会交流が認められるケース

離婚の際に子供がいる場合、父親、母親、どちらが子供の親権を持つのかを話し合います。

どちらに親権が渡るかは、離婚問題に発展した原因がどちらにあるのか、また子どもが15歳以上であれば子供の意見を参考に決めます。

そして親権が決定すれば、親権者にならなかった親が当然います。

この親権者にならなかった親には、子供と面会する権利があります。

これを『面会交流権(面接交流権)』といいます。

離婚することになっても親である以上、子供に会いたいという気持ちはあるためこういった面会交流権が認められています。

離婚後の子どもとの面会

ただしこの面会交流権は認められている権利ですが、必ずしも離婚の際に取り決めをしなくてはならいものではありません。

しかし離婚後に、面会交流の取り決めをすると後々トラブルに発展してしまうため、離婚の際に決めておくことをおすすめします。

この面会交流権は、離婚当事者もしくは代理人によって面会方法や頻度、日時や場所などについて話し合います。

もし、当事者同士の話し合いで取り決めが難しい場合は裁判所が関与することもあります。

裁判所が関与する場合は、親権を持たなかった親が調停を申し立て、調停にて取り決めることになります。

さらに調停でも決まらなかった場合は、審判を行い裁判官に面会交流の内容を判断して決めてもらうことになります。

調停・審判ではしっかりと離婚原因などを考慮して取り決めることがトラブル回避のポイントとなります。

面会交流を調停で取り決めする際は調査がある

調停では、親権を持たなかった親が面会交流をするときに、子供や親権をもつ方の親への心理的影響に配慮するために調査を行います。

調査は子供の心身状態に十分に配慮して実施されます。

家庭裁判所の調査官が調査し、調停委員が面会の頻度や日時、場所を判断します。

この際に、試行的面接として子どもがどのように親権を持たなかった親と接するかを確認します。親子間の交流に問題がないのかをしっかりと観察するのです。

試行的面接は通常一回しか行いません。

従ってうまくいった場合はスムーズに調停が成立しますが、子供と親権を持たなかった方の親とうまく接することができなかった場合は、面接交流ができなくなることもあります。

最も多い面接交流の頻度は?

最も多い面接交流の頻度としては、基本的には月1回程度で2~3時間程度です。

ただし子供の年齢や個人個人の状況によって取り決めが異なることもあります。

離婚後に起こりやすい子供の面会に関するトラブル

離婚後に必ずといっていいほど起こるのが子供の面会に関するトラブルです。

というのも離婚後、子どもが成長するに連れて、子どもの環境、また、離婚した当事者同士の環境も変化するからです。

よくある事例を例にご紹介します。

親権を持たなかった親に原因があるケース

離婚した原因には様々な問題がありますが、離婚した原因によって、面接交流ができない可能性が高くなるケースがあります。

それはDVや虐待です。子どもは『子どもの福祉』をいかに守っていくかが最優先されるのです。

ただしDVや虐待が認められる場合は、はじめから調停で面接交流権を認められません。従って面会させる必要はないのです。

しかしDVや虐待などの正当な理由がない場合で調停後に面接交流権を認められたケースでは、親権を持たなかった親にも子どもに面会する権利があるため、子どもに会わせなくてはなりません。

つまり正当な理由なしに、面会を拒否することは認められていないのです。

もちろん親権を持たなかった親の生活環境が悪化した場合や何が事件などを起こしてしまった場合では、再度調停をやり直して、面接交流権を剥奪することも可能です。

理想としては当事者同士で話し合いをすることが望ましいです、状況によっては弁護士などの代理人を立て、裁判所にて裁判官に判断を委ねるほうがよい場合もあります。

養育費不払いのケース

養育費の不払いは、離婚後に必ずといっていいほどおこる離婚問題の一つです。

むしろ養育費を最後まで払い続ける人の方が珍しいというのが今の社会の現実です。

では養育費の不払いを理由に、子どもとの面会を拒否することは認められているのでしょうか?

そもそも養育費は調停、審判、話し合いなど決めた方法に関係なく、親として支払う義務があります。

しかし面接交流権は、親権を持たなかった方の親にも認められた権利ですので、養育費とは別問題となります。

教育費の不払いがある場合は、まずはこの問題を解決し面接交流に関しては再度話し合いまたは調停のやり直しが必要です。

面会交流権と養育費は一切関係がありませんが、子供の生活保持義務がある限り養育費をもらう権利を主張していくましょう。

再婚のため親権をもたなかった親の面会を拒否するケース

このケースも最近は増加しています。

再婚によって新しい家族を作っていく中で、新しい配偶者からすれば、離婚した他人が子どもに面会するのは好ましくないと親権を持つ親側が判断するからです。

ではこういったケースでは合わせなくなることは認められるのでしょうか?

親権を持たなかった親にも面接交流権が認められていたため面会する権利はあります。これが前提となりますので、まずは当事者同士の話し合いによって解決を目指すか、折り合いがつかない場合は再度調停となります。

また子供が15歳以上であれば、子供の意見が最優先されます。

しかし再婚だけでは、面会交流権を拒否する正当な理由にはならないことはしっかり理解しておきましょう。

離婚後、子供の面会に関するトラブルがお互いの生活環境の変化によって引き起こされることがあります。現時点で置かれている状況をお互いに理解し、ベストな選択を心がけしましょう。

まずは子どもにとって何が一番かが重要です。

仮に話し合いで折り合いがつかなければ、問題をウヤムヤにして放置せずに、裁判所にて再度調停を申し立てましょう。

問題を解決することが当事者同士はもちろん、子供にとってもベストであることは間違いありません。